教会ニュース 7月-8月 合併号

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巻頭言

信徒 加部公子

 毎年、幼稚園の七夕飾りのために、ご近所の福島様はお庭の笹をたくさん切ってくださいます。今年も7月6日の朝に、幼稚園ホールの吹き抜けの天井に届くほど背の高い笹を10本以上いただきました。

ホールの中央に全部の笹をまとめて立てると、瑞々しい薄青緑の葉がいっぱいに広がり、何の飾りがなくても十分に「きれい!」と眺め、その日のうちに、子どもたちが折り紙で作りためた輪飾りや貝つなぎ、投網、提灯、吹き流し、すいか等々と、願い事を書いた短冊が飾られて、色とりどりの賑やかな七夕飾りが完成しました。

次々に飾りを下げる子どもたちの小さな手や、天井近くから床に届くほど長く繋がれた年長組の貝つなぎや年中組の輪飾りを眺めるのも、それを、うっとり見上げる年少組の表情に、「私もできるようになりたい」という憧れを感じるのも良いものです。

短冊には、絵と文字(多くの子は先生が書きます)で、「ねこがほしい」「はやくはしれるように」「プリンセスになりたい」と、子どもたちの「欲しいもの」「できるようになりたいこと」「将来の夢」などが書かれています。「願い事は?」と聞かれて、「決められない」と悩んだり、先生に聞かれて黙り込んでしまったりする子もいますが、答える子も悩む子も、それぞれの姿は同じくらい良いと思っています。

この夏の東京オリンピックに、新種目のサーフィンで出場が決まった選手の一人である都築有夢路(つづきあむろ)さんは、当園の卒園生です。小学校を卒業してすぐに開かれた同窓会で、「中学生になってやりたいこと」を聞かれた時に、「サーフィンをやりたい」と答えた“あむちゃん”。よく日に焼けた笑顔が「いきいきと、きれいだなあ」と思いながら「がんばってね」と、声を掛けて以来、会う機会はありませんでした。ですから、地元の一人として遠くから応援する私ではありますが、この幼稚園を巣立った有夢路さんが「やりたい」ことに出会い、夢や願いを持ってそれに掛けられる時を過ごしていることは何より嬉しいです。

幼稚園の頃の有夢路さんは七夕の短冊にどんな願い事を書いたでしょう。覚えてはいませんが、「サーフィンでオリンピックに出たい」ではなかったことは確かで、子どもたちには計り知れない成長や、未来の姿があることを改めて思います。

七夕前日の保育後、笹に飾られた子どもたちの短冊の1枚1枚を、先生たちは「かわいいね、おもしろいね」と、手に取りながら見て回りました。子どもたちの未来は見えないけれど、神さまに愛され多くの人にかわいがられた幼児期が、豊かな成長の基になることを信じながら。

            (鵠沼めぐみルーテル幼稚園 園長)

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