副議長だより(教会だより2022年2月号)
2022.3.11

副議長だより

 北海道や新潟では大雪だというのに、2月に入るとすぐ立春(4日)となり、暦の季節が冬から春に変わったことを知らされます。きっと土の中では、命あるものらが芽を出す準備をし始めていることでしょう。

 昔は、春の始まりを一年の始まりと捉えて大切にしていました。それで、立春の前日を「節分」と呼び、はっきりと季節を分けるようになったそうです。豆まきはこの節分に伴う行事です。

 鵠沼めぐみルーテル幼稚園でも豆まきを行っています。何人かの保護者が鬼に扮装して現れると、怖くて大泣きしながら逃げ回る子がいれば、覚めた目で眺める年長の子もいます。その鬼に向かって「鬼は外、福は内」と言って豆をまきます。つまり、悪いものを鬼と呼んで外へ追い払い、良いものを福と呼んでうちへ呼び込む。そのために、栄養たっぷりでパワーのある大豆が使われているということです。これは日本の昔から行われてきた大切な行事の一つですが、キリスト教の教派の中には、幼稚園でそのような行事を行わないところもあるようです。

 しかし、鬼と福の関係を一年に一度覚えることは、自分の中の両面性に気づく大切なときかもしれません。もちろん、小さい子どもがすぐそこまで気づくことはできません。しかし、そこには重要な気づきへと人を育む教育の景色が宿っているように思います。私たちは、排他的に悪を他者の中に見い出しやすく、他者と自分との間に壁を置いてしまいます。信仰者とは言っても、そのような傾向の中で、教会間、教派間、宗教間の分裂を生み出しているのです。「鬼は外、福は内」と言うときに、実は鬼も福も私の中にあり、そして他者の中にも鬼と福があることに私は気づきます。だからこそ内なる福に目覚めて自分と他者を愛してゆこうと。イエスさまは死なれる前の晩に切に祈っておられました。「わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためです」(ヨハネ17章22)。

 私の中にこそ鬼と福という両面性がある、その自分の内面を先ず一つにすることから私たちの信仰は芽を出し、成長してゆくのでしょう。そしてそこから、一致を願うキリストの祈りを自分の祈りにしてゆけたらと思います。

梁煕梅