議長だより(教会だより2023年11月号)
2023.11.13
ルター曰く、キリスト者とは「義人にして同時に罪人」であるといいます。この言葉を聞いて、宙吊りにされているような思いになる人もいるかもしれません。人は、白黒はっきりさせて、すっきりしたくなります。日常の中でも、どちらが正しくて、どちらが間違っているのか、はっきりさせたいという思いに駆られます。しかし、世の中で起こっている出来事を見ると、被害者と加害者を簡単に決められないものがほとんどです。加害者は、その手前で被害者だったりもします。
私たちが、ずっと、自分は罪人である、そのことばかりで心をいっぱいにするならば、生きているのが辛くなります。しかし、自分は義人である、自分こそは正義である、そのことで心をいっぱいにするのも危険です。正義は暴走して、人を裁き、人を攻撃し始めます。神さまの恵みによって義とされたものであるが、同時に欠けのあるもの、弱さのある者、罪深い思いを抱えたものであることも忘れてはいけないことです。
聖書の舞台となったパレスチナ地方のガザ地区で、争いが続いています。簡単にはどちらが正義で、どちらが間違っているのか、判定をつけられないものです。しかし、いずれにしても暴力が振るわれている事態は、一刻も早く終息してほしいと祈っています。力によらず、解決されていく道が与えられることを祈ります。
吉田達臣