キリストの心(教会だより2023年11月号)
2023.11.13

中風の人についての黙想「家に帰りなさい」(マタイ9章1~8)

飯能ルーテル教会では、毎月第一、第三水曜日には黙想会を行っています。10月第一水曜日には、マタイによる福音書9章の中風の人について黙想をしました。黙想をしているうちに、私は「家に帰りなさい」というイエス様の言葉に目が留まりました。イエス様が「家に帰りなさい」と言われなかったとしても、癒された人は、皆家に帰るでしょう。さらにマタイによる福音書の中で、「家に帰りなさい」という言葉は、この箇所のみです。それで、なぜイエス様は「家」という所を指しておっしゃったか、黙想をすることにしました。

黙想を続けているうち、1節を読み、この出来事がイエス様のご自分の町で行われたことが分かりました。今は隣の家との交わりや町の出来事について大きな関心はありませんが、私の幼い頃を思い出しても、隣の家だけでなく、町の人々や起こった出来事については皆が分かっていました。まして約2000年前の町のこととは。町の人々であれば、自分の町のことについては皆詳細に分かっていたでしょう。それを念頭に置いて考えてみると、イエス様もご自分の町で起こっていることについてお分かりになっていたと思います。

イエス様は、この中風の人のことを知っておられたと思います。それで、中風の人に必要なことを与えてくださったと思います。罪の赦し、病気の癒し、そして、家に帰ることまで。彼にとって必要なことをイエス様はお分かりになり、全部与えられました。なぜ彼は家に帰られなかったのか、様々なわけがあったでしょう。これについては書いていないので、読者である私たちは分かりませんが、すべてのことをお分かりになっているイエス様は、彼らのことを解決され、彼を家に帰らせました。

フィリピの信徒への手紙3章20節に「わたしたちの本国は天にあります」と書かれています。イエス様に従っている私たちの家は天にあるのです。それで、私たちが罪の中にいても、病気の中にいても、いろいろな困窮や逆境の中にいても、私たちは天国に入ることができます。私の正しさや善い行いのためではなく、イエス様の命令、「家に帰りなさい」という御言葉によって私たちは天の国にはいることができるのです。この素晴らしいイエス様の御言葉がいつも皆さまと共にありますように祈ります。

(飯能ルーテル教会牧師 李正雨)